何も浮かばなかったのでしょうもない考察でお茶を濁すよ
「風が吹くと桶屋が儲かる」
風が吹いた。
強い風がびゅんびゅん吹き荒れた。
風が吹くたび土ぼこりが舞い上がるもんで、
目を患ってしまう者が多いんだそうな。
そうなっちまったら商いは難しい。
みんなせっせこ練習して三味線弾きになったってさ。
ところで三味線の皮の部分。あれは猫の皮なんだってね。
三味線が多く出回ると猫が減る。
猫が減って喜ぶのは、そう、鼠だな。
鼠が増えちまってまいっちまうのは人間様よ。
食いもんの他にもあちこちかじられてねぇ。
柱に壁に。あと桶も駄目になっちまった。
これは買い換えなきゃいけねぇなぁ。
桶屋が儲かる。
風が吹いた。
いつの間にこんな冷たい風が吹く季節になったんだ。
この季節の風ってたしか……、あれ?なんて言うんだっけな。
まぁいいや。
とにもかくにも足を速めよう。
首を長くしすぎてベッドから頭が転がり落ちている頃だろうし
身体を冷やして私まで風邪をひいちゃあいけない。
なにが要るかな。お米はあるだろう。
たまごはどうだ。ダブると悪くなっちゃうだろうしなぁ。
そうだ。鮭フレークなんてどうだ。レトルトのやつにそんな味があったはず。
2個セット?多いな。まぁこれでいいか。あとは………
風が吹いた。
ドアが開くと同時に冬の風が土足で駆け込んでくる。
枕元にまで届くのは簡素なワンルームの弊害だ。
君、これは木枯らしというものですよ。
人が作ったお粥を食べるなんて数えるほどのことだろう。
冷蔵庫を探っていたのでおおかた卵粥だろうとおもったら
なぜか鮭もたっぷり入っている。曰く「ハイブリッド」だそうだ。
妙に箸が進む。いや、匙か。
気を利かせたようだけどごま塩とおかわりの出番はないようです。
さてここでひとつ問題が。
その場しのぎに使っていた大きめな鍋が大量の粥を抱えたままなのである。
これでは額のタオルを絞れない。
…まぁ、あって困るようなものではないし、今が買い時か。
ねぇちょっと。すぐそこに商店街があったじゃん?
着替えたいからさ、その間に買ってきてくれないかな。
桶屋が儲かる。
風が吹いた。
今年一番の大風だ。
街路樹も大きくのけぞっている。
庭にあった物もほとんど飛ばされてしまった。
鉢植え、ほうき、じょうろ、そして、桶。
あーあ。新しいの買おっと。
………。
そうだ。
今度の休みにショッピングに行きましょう。
欲しかったものもいろいろあるし。
ついでだから模様替えもしたいな。
テーブルとイス、あと本棚も欲しい!
共働きだから配送だと受け取れるかわかんないし、
旦那も連れてって荷物持たせちゃおう。
でもさすがに家具は無理か…
………。
いや待てよ?
組み立て式なら車に積んで帰れるじゃん!
決まり!よーし、模様替えがんばるぞー!
IKEAが儲かる。